FP2級学科解説-2022年1月・問51~60
【問51】
民法上の贈与に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 書面によらない贈与は、その履行の終わった部分についても、各当事者が解除をすることができる。 |
2. | 負担付贈与とは、贈与者が受贈者に対して一定の債務を負担させることを条件とする贈与をいい、その受贈者の負担から利益を受ける者は贈与者に限られる。 |
3. | 死因贈与とは、贈与者の意思表示のみで成立し、贈与者の死亡によって効力が生じる贈与をいう。 |
4. | 定期贈与とは、贈与者が受贈者に対して定期的に財産を給付することを目的とする贈与をいい、贈与者または受贈者の死亡によって、その効力を失う。 |
正解:4 | |
1. | 既に履行が完了した贈与契約は、解除することはできません。 |
2. | 負担付贈与契約において、受贈者の負担から利益を受ける人は贈与者に限られません。例えば、母の介護をすることを条件に、父が子に金銭を贈与するケースなどが該当します。 |
3. | 死因贈与は贈与契約の一種ですから、贈与者と受贈者の意思が合致しなければ成立しません。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問52】
親族等に係る民法の規定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 親族の範囲は、6親等内の血族、配偶者および3親等内の姻族である。 |
2. | 養子縁組(特別養子縁組ではない)が成立した場合であっても、養子と実方の父母との親族関係は終了しない。 |
3. | 直系血族および兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務があるが、家庭裁判所は、特別の事情があるときは、3親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。 |
4. | 相続人が被相続人の子である場合、実子と養子の法定相続分は同じであるが、嫡出でない子の法定相続分は、嫡出子の法定相続分の2分の1である。 |
正解:4 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 正しい記述です。普通養子縁組では実父母との親族関係が継続し、特別養子縁組では実父母との親族関係が終了します(法律上、特別養子は養父母の実の子として扱われます)。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 実子と養子の法定相続分と、嫡出子と非嫡出子の法定相続分は、それぞれ等しいです |
【問53】
贈与税の課税財産に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 子が母から著しく低い価額の対価で土地の譲渡を受けた場合、原則として、その相続税評価額と支払った対価の額との差額を限度に、子が母から贈与により取得したものとみなされ、その差額相当分は、贈与税の課税対象となる。 |
2. | 個人の債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難になり、個人の債権者から当該債務の免除を受けた場合、当該免除を受けた金額のうちその債務を弁済することが困難である部分の金額は、贈与税の課税対象とならない。 |
3. | 離婚による財産分与によって取得した財産については、その価額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮しても過当でなく、贈与税や相続税のほ脱を図ったものでもない場合には、贈与税の課税対象とならない。 |
4. | 契約者(=保険料負担者)が父、被保険者が母、死亡保険金受取人が子である生命保険契約を締結していた場合において、母の死亡により子が受け取った死亡保険金は、贈与税の課税対象となる。 |
正解:1 | |
1. | 低額譲渡が行われた場合、原則として、その資産の時価と対価の差額相当額が、贈与税の課税対象になります。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 正しい記述です。契約者(=保険料負担者)と被保険者と死亡保険金受取人が全て異なる生命保険契約から支払われた死亡保険金は、贈与税の課税対象になります。 |
【問54】
贈与税の計算に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 暦年課税に係る贈与税額の計算上、適用される税率は、超過累進税率である。 |
2. | 子が同一年中に父と母のそれぞれから贈与を受けた場合、同年分の子の暦年課税に係る贈与税額の計算上、課税価格から控除する基礎控除額は、各贈与者につき最高110万円となる。 |
3. | 妻が夫から受けた贈与について贈与税の配偶者控除の適用を受けたことがある場合、その後、同一の夫から贈与を受けても、再び贈与税の配偶者控除の適用を受けることはできない。 |
4. | 相続時精算課税制度に係る贈与税額の計算上、適用される税率は、一律20%である。 |
正解:2 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 暦年課税に係る贈与税額の計算上、基礎控除額は、受贈者一人につき最高110万円です。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問55】
民法上の相続人等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 成年に達した者は、尊属または年長者以外の者を養子とすることができるが、養子には人数制限があり、実子のいる者は1人まで、実子のいない者は2人までである。 |
2. | 被相続人の配偶者は、常に相続人となり、被相続人に子がいる場合、子が第1順位の相続人となる。 |
3. | 被相続人の子が相続開始以前に廃除により相続権を失った場合、その者に子がいるときは、その子(被相続人の孫)は代襲相続人となる。 |
4. | 胎児は、死産とならない限り、相続開始時にすでに生まれたものとみなされる。 |
正解:1 | |
1. | 相続税の計算においては、養子の数の算入制限がありますが、民法上は、養子とすることができる人の数に制限はありません。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。死亡、欠格、廃除は代襲原因です。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問56】
民法上の遺言に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 遺言は、未成年者であっても、満15歳以上の者で、かつ、遺言をする時にその能力があれば、法定代理人の同意を得ることなく単独ですることができる。 |
2. | 遺言者が自筆証書遺言に添付する財産目録をパソコンで作成する場合、当該目録への署名および押印は不要である。 |
3. | 公正証書遺言を作成する際には、証人2人以上の立会いが必要とされる。 |
4. | 遺言者が法務局における自筆証書遺言書保管制度を利用した場合、その自筆証書遺言について、相続開始後の家庭裁判所の検認手続きは不要である。 |
正解:2 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 財産目録も、遺言と同じく、署名と押印が必要です。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 正しい記述です。自筆証書遺言は、基本的には検認が必要ですが、自筆証書遺言保管制度を利用した場合には、改ざんなどの心配が無いため、検認が不要になります。 |
【問57】
相続税の課税財産等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 老齢基礎年金の受給権者が死亡し、その者に支給すべき年金給付で、死亡後に支給期の到来する年金を、生計を同じくしていた受給権者の子が受け取った場合、当該年金は相続税の課税対象とならない。 |
2. | 契約者および被保険者を相続人とする生命保険契約の保険料を被相続人が負担していた場合、被相続人が負担していた保険料に対応する生命保険契約に関する権利は、契約者である相続人が相続または遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となる。 |
3. | 被相続人から相続開始前3年以内に暦年課税による贈与により取得した上場株式は、その者が相続や遺贈により財産を取得したかどうかにかかわらず、相続税の課税対象となる。 |
4. | 被相続人から相続時精算課税制度による贈与により取得した現金は、その者が相続や遺贈により財産を取得したかどうかにかかわらず、相続税の課税対象となる。 |
正解:3 | |
1. | 未支給年金(年金の受給権者が死亡した場合に、その人に支給すべき年金でまだ支給されていないもの)は、請求にすれば、一定範囲の遺族に支給されます。 受け取った未支給年金は、一時所得として、所得税の課税対象になります(未支給年金請求権は、請求する遺族の固有の権利であり、相続または遺贈により取得するものではないため)。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 暦年課税により、被相続人の死亡前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産は、その贈与を受けた人が、相続または遺贈によって財産を取得していなければ、相続税の課税価格には含まれません(生前贈与加算の対象にはなりません)。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問58】
2021年10月11日(月)に死亡した被相続人が保有していた上場株式の1株当たりの相続税評価額として、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
<上場株式1株当たりの最終価格等>
<上場株式1株当たりの最終価格等>
1. | 2,430円 |
2. | 2,450円 |
3. | 2,510円 |
4. | 2,530円 |
正解:2 |
上場株式の相続税評価額は、課税時期の終値と課税時期が属する月以前3ヵ月間の各月の終値の平均のうち、最も低い価格によって評価します。 つまり、10月11日の最終価格、10月の最終価格の月平均、9月の最終価格の月平均、8月の最終価格の月平均のうち、最も低い2,450円が一株当たりの相続税評価額となります。 |
【問59】
Aさんの相続が開始した場合の相続税額の計算における土地の評価に関する次の記述のうち、最も不 適切なものはどれか。
1. | Aさんが、自己が所有する土地の上に自宅を建築して居住していた場合、この土地は自用地として評価する。 |
2. | Aさんが、自己が所有する土地に建物の所有を目的とする賃借権を設定し、借地人がこの土地の上に自宅を建築して居住していた場合、この土地は貸宅地として評価する。 |
3. | Aさんの子が、Aさんが所有する土地を使用貸借で借り受け、自宅を建築して居住していた場合、この土地は貸宅地として評価する。 |
4. | Aさんが、自己が所有する土地の上に店舗用建物を建築し、当該建物を第三者に賃貸していた場合、この土地は貸家建付地として評価する。 |
正解:3 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 使用貸借契約により貸し付けている土地は、自用地として評価します。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問60】
Aさんの死亡により、配偶者のBさんは、下記の甲土地を相続により取得した。甲土地が特定居住用宅地等に該当し、その限度面積まで「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(以下「本特例」という)の適用を受けた場合、相続税の課税価格に算入すべき甲土地の価額として、最も適切なものはどれか。
<甲土地の概要>
面積:420㎡
自用地の価額(本特例適用前の価額):210,000千円
面積:420㎡
自用地の価額(本特例適用前の価額):210,000千円
1. | 210,000千円-210,000千円×400㎡/420㎡×80%=50,000千円 |
2. | 210,000千円-210,000千円×330㎡/420㎡×80%=78,000千円 |
3. | 210,000千円-210,000千円×240㎡/420㎡×50%=78,000千円 |
4. | 210,000千円-210,000千円×200㎡/420㎡×50%=78,000千円 |
正解:2 | |
特定居住用宅地等に該当する土地は、330㎡までの相続税評価額が80%減額されます。 |
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