お金の寺子屋

FP2級学科解説-2019年9月・問21~30

【問21】
日本円・米ドル間の為替相場の変動要因等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 購買力平価説によれば、米国と日本に同じ財があり、その財を米国では2米ドル、日本では220円で買える場合、為替レートは1米ドル=110円が妥当と考える。
2. 米国の物価が日本と比較して相対的に上昇することは、一般に、円安米ドル高要因となる。
3. 日本の対米貿易黒字の拡大は、一般に、円高米ドル安要因となる。
4. 米国が政策金利を引き上げ、日本との金利差が拡大することは、一般に、円安米ドル高要因となる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 米国の物価が上昇するということは、米ドルの価値が低下するということですから、一般的に、円高米ドル安要因です。
3. 正しい記述です。日本の貿易黒字が拡大すると、一般的に、円の価値が高まると考えられます。
4. 米国が政策金利を引き上げるということは、米ドルの価値が高くなるということですから、一般的に、円安米ドル高要因です。
【問22】
下記<資料>に基づき円貨を米ドルに換えて米ドル建て外貨定期預金に預け入れ、満期を迎えて円貨に換金した場合の円換算による利回り(単利による年換算)として、最も適切なものはどれか。なお、結果は、%表示の小数点以下第3位を四捨五入すること。また、税金等は考慮しないものとする。

<資料>米ドル建て外貨定期預金の条件
・年利率:2%
・預入期間:1年
・預入金額:10,000米ドル
・為替予約なし
・適用為替レート(円/米ドル)

TTS TTM TTB
預入時 110.00 109.00 108.00
満期時 114.00 113.00 112.00
1. 2.00%
2. 3.85%
3. 5.74%
4. 7.67%
正解:
当初の投資額は、10,000米ドル×110円/米ドル(TTS)=110万円です。
満期時の米ドル建て資産は、10,000米ドル×(1+0.02)=10,200米ドルですから、これを円転すると、10,200米ドル×112円/米ドル(TTB)=1,142,400円です。
つまり、円ベースでは1,142,400円-110万円=42,400円となります。
したがって、円ベースの利回り(%)は、42,400円÷110万円×100≒3.854…%となります。
【問23】
上場投資信託(ETF)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. ETFは、証券取引所の立会時間中、成行注文や指値注文による売買が可能である。
2. 証券取引所を通じて行うETFの取引では、信用取引を行うことはできない。
3. ETFの分配金を受け取るためには、ETFの決算日(権利確定日)において所有者になっている必要がある。
4. ETFには、日経平均株価やTOPIXなどの指標の日々の変動率に一定の正の倍数を乗じて算出される指数に連動するレバレッジ型や、当該指標の日々の変動率に一定の負の倍数を乗じて算出される指数に連動するインバース型がある。
正解:
1. 正しい記述です。
2. ETFは、信用取引の対象です。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。
【問24】
固定利付債券(個人向け国債を除く)の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 債券を発行体の信用度で比較した場合、他の条件が同じであれば、発行体の信用度が高い債券の方が債券の価格は低い。
2. 債券を償還までの期間の長短で比較した場合、他の条件が同じであれば、償還までの期間が長い債券の方が、利回りの変化に対する価格の変動幅は大きくなる。
3. 表面利率が最終利回りよりも低い債券の価格は、額面価格を下回る。
4. 市場金利が上昇すると、通常、債券の利回りは上昇し、債券の価格は下落する。
正解:
1. 他の条件が同じであれば、発行体の信用度が高い債券の方が、債券の価格は高くなります。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
表面利率をa%、最終利回りをb%、債券価格をcとすると、{a+(100-c)÷保有期間}÷c×100=bとなります。
よって、a<bなのであれば、(100-c)>0という式が成り立ちます。
ゆえに、問題文の条件下では、債券価格(c)は、額面価格(100円)を下回ります。
4. 正しい記述です。
【問25】
株式の信用取引に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 信用取引とは、投資家が証券会社に委託保証金を差し入れて、資金や株式を借りて行う売買取引である。
2. 信用取引には、手元資金以上の取引を行うことが可能なレバレッジ効果がある。
3. 信用取引では、委託保証金を差し入れる場合、一定の条件の下で現金の代わりに株式や公社債などの有価証券をもって代用することもできる。
4. 制度信用取引では、弁済までの期限や品貸料については証券取引所の規則により定められているが、対象となる銘柄は上場銘柄のうち各証券会社が選定している。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
4. 制度信用取引の対象となる銘柄は、証券取引所が定めています。

【問26】
下記<資料>に基づくファンドAとファンドBの運用パフォーマンスの比較評価に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句または数値の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

<資料>ファンドAとファンドBの運用パフォーマンスに関する情報
1. (ア)2.50 (イ)1.75 (ウ)大きい
2. (ア)2.50 (イ)1.75 (ウ)小さい
3. (ア)3.00 (イ)2.00 (ウ)大きい
4. (ア)3.00 (イ)2.00 (ウ)小さい
正解:
(ア) シャープレシオは、(ファンドのリターン-無リスク金利)÷標準偏差という式により計算されますから、ファンドAのシャープレシオ=(6%-1%)÷2%=2.5となります。
(イ) ファンドBのシャープレシオ=(8%-1%)÷4%=1.75となります。
(ウ) シャープレシオは、運用の効率を評価する指標で、この値が高いほど効率的な運用であったと判断されます。
【問27】
上場株式の譲渡および配当(一定の大口株主等が受けるものを除く)に係る税金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 上場株式の配当について申告する場合、所得税では総合課税を選択し、住民税では申告分離課税を選択することもできる。
2. 上場株式の配当について、申告分離課税を選択して確定申告をした場合、上場株式の譲渡損失の金額と損益通算することができる。
3. 損益通算してもなお控除しきれない上場株式の譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。
4. NISA(少額投資非課税制度)口座内の上場株式の譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、特定口座内の上場株式の譲渡益の金額と損益を通算することができる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
4. NISA口座内の上場株式に係る譲渡損失は、損益通算することができません。
【問28】
わが国における個人による金融商品取引に係るセーフティネットに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 国内証券会社が保護預かりしている一般顧客の外国株式は、原則として、日本投資者保護基金による補償の対象となる。
2. ゆうちょ銀行に預け入れた通常貯金は、預入限度額である元本1,300万円までとその利息が預金保険制度による保護の対象となる。
3. 国内で事業を行う生命保険会社が破綻した場合、生命保険契約者保護機構による補償の対象となる保険契約については、高予定利率契約を除き、責任準備金等の90%まで補償される。
4. 農業協同組合(JA)に預け入れた決済用貯金は、その金額の多寡にかかわらず、全額が農水産業協同組合貯金保険制度による保護の対象となる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. ゆうちょ銀行に預け入れた通常貯金も、預金保険制度によって保護される金額は、1,000万円までです。預け入れ限度額と混同しないようにしてください。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。
【問29】
金融商品の販売等に関する法律(以下「金融商品販売法」という)および消費者契約法ならびに金融商品取引法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 外国為替証拠金取引は、金融商品販売法における金融商品の販売に該当する取引である。
2. 金融商品販売法が規定する金融商品の販売において、金融商品販売法と消費者契約法の両方の規定を適用することができる場合は、金融商品販売法が優先して適用される。
3. 消費者契約法では、事業者が消費者に対し、ある重要事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、不利益となる事実を故意に告げなかったことにより、消費者が当該事実が存在しないと誤認し、消費者契約の申込みをしたときは、消費者はこれを取り消すことができるとされている。
4. 金融商品取引法では、金融商品取引業者等が行う金融商品取引業の内容に関する広告等をする場合、金融商品取引行為を行うことによる利益の見込みなどについて、著しく事実に相違する表現をし、または著しく人を誤認させるような表示をしてはならないとされている。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 金融商品販売法と消費者契約法の両方の規定を適用することができる場合は、両方の規定が適用されます。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。
【問30】
ファイナンシャル・プランナーが顧客に対して行った一般NISA(非課税上場株式等管理契約に係る少額投資非課税制度)、ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)、つみたてNISA(非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度)の活用に関する次のアドバイスのうち、最も適切なものはどれか。
1. 2018年に一般NISAを利用して上場株式に投資をしているAさんに対し、「非課税期間が終了したら、当該株式を翌年の一般NISAの非課税投資枠を利用してロールオーバーするか、課税口座に移すかを選択できます」とアドバイスした。
2. 子どもの将来のための資金を運用したいと考えているBさんに対し、「ジュニアNISA口座であれば、お子さまが口座開設者となり、年間100万円まで非課税で運用できて、非課税期間終了後も、お子さまが20歳になるまで引き続き非課税で保有できます」とアドバイスした。
3. 長期投資を始めたいと考えているCさんに対し、「つみたてNISAを利用して運用すれば、最長で20年間の非課税期間終了時にロールオーバーすることで、40年間まで、非課税で運用できます」とアドバイスした。
4. 新たに投資を始めたいと考えているDさんに対し、「つみたてNISAの対象商品は、所定の要件を満たす公募株式投資信託や不動産投資信託(REIT)等で、事前に金融庁に届け出されたものに限られるため、いずれも長期の積立・分散投資に適したものといえます」とアドバイスした。
正解:
1. 正しい記述です。
2. ジュニアNISAにおける非課税投資枠は、年間80万円です。
3. つみたてNISAには、ロールオーバーの制度はありません。
4. つみたてNISAの対象商品は、長期・分散・積立投資に適した低コストの投資信託です。REITに投資する事はできません。

スポンサーリンク




スポンサーリンク



<戻る ホーム 進む>
LINEで送る
Pocket

コメントは受け付けていません。