FP3級実技(保険)解説-2018年9月・問1~9
【問1】~【問3】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
個人事業主のAさん(47歳)は、妻Bさん(47歳)とともに、学習塾を営んでいる。Aさんは、大学卒業後に入社した出版社を退職した後に、現在の学習塾を開業した。
Aさんは、最近、自分の公的年金がどのくらい支給されるのか、知りたいと思うようになった。また、Aさんは、ゆとりある老後生活を送るために、老後の年金収入を増やしたいと考えている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。 Aさんおよび妻Bさんに関する資料は、以下のとおりである。
個人事業主のAさん(47歳)は、妻Bさん(47歳)とともに、学習塾を営んでいる。Aさんは、大学卒業後に入社した出版社を退職した後に、現在の学習塾を開業した。
Aさんは、最近、自分の公的年金がどのくらい支給されるのか、知りたいと思うようになった。また、Aさんは、ゆとりある老後生活を送るために、老後の年金収入を増やしたいと考えている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。 Aさんおよび妻Bさんに関する資料は、以下のとおりである。
<Aさんに関する資料>
生年月日:昭和46年5月12日
生年月日:昭和46年5月12日
[公的年金の加入歴]
下図のとおり(60歳までの見込みを含む)
大学卒業後の22歳から15年間、厚生年金保険に加入。学習塾の開業後は国民年金の保険料を納付している。
下図のとおり(60歳までの見込みを含む)
大学卒業後の22歳から15年間、厚生年金保険に加入。学習塾の開業後は国民年金の保険料を納付している。
<妻Bさんに関する資料>
生年月日:昭和46年7月16日
生年月日:昭和46年7月16日
[公的年金の加入歴]
下図のとおり(60歳までの見込みを含む)
大学卒業後の22歳からAさんと結婚するまでの7年間、厚生年金保険に加入。結婚後は国民年金の第3号被保険者となり、学習塾の開業後の現在は国民年金の保険料を納付している。
下図のとおり(60歳までの見込みを含む)
大学卒業後の22歳からAさんと結婚するまでの7年間、厚生年金保険に加入。結婚後は国民年金の第3号被保険者となり、学習塾の開業後の現在は国民年金の保険料を納付している。
※ | Aさんおよび妻Bさんは、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問1】
はじめに、Mさんは、Aさんおよび妻Bさんが原則として65歳から受給することができる老齢基礎年金の年金額を試算した。《設例》の公的年金加入歴に基づいて、Mさんが試算した老齢基礎年金の年金額の計算式の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。なお、年金額は平成30年度価額に基づいて計算するものとする。
1. | Aさん :779,300円×265月/480月 妻Bさん:779,300円×363月/480月 |
2. | Aさん :779,300円×445月/480月 妻Bさん:779,300円×351月/480月 |
3. | Aさん :779,300円×445月/480月 妻Bさん:779,300円×447月/480月 |
正解:3 (3点)
老齢基礎年金の年額=779,300円×保険料納付済期間(第3号被保険者期間を含む)/480ヵ月です。
Aさんの保険料納付済期間(予定を含む)は、180月+114月+151月=445月、
妻Bさんの保険料納付済期間(予定を含む)は、84月+96月+114月+153月=447月です。
Aさんの保険料納付済期間(予定を含む)は、180月+114月+151月=445月、
妻Bさんの保険料納付済期間(予定を含む)は、84月+96月+114月+153月=447月です。
【問2】
次に、Mさんは、老後の年金収入を増やす各種方法について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も不適切なものはどれか。
1. | 「Aさんは、老後の年金収入を増やすために、国民年金基金に加入することができます。掛金の額は、加入者の年齢や性別を問わず、一律です」 |
2. | 「Aさんが国民年金の定額保険料に加えて付加保険料を納付することで、65歳から『200円×付加保険料納付済期間の月数』の算式で計算した額を付加年金として受け取ることができます」 |
3. | 「小規模企業共済制度は、個人事業主が廃業等した場合に必要となる生活資金を準備しておくための共済制度です。毎月の掛金は、1,000円から70,000円の範囲内(500円単位)で選択することができます」 |
正解:1 (4点)
1. | 国民年金基金の掛金は、加入者の年齢によって異なります。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。 |
【問3】
最後に、Mさんは、確定拠出年金の個人型年金(以下、「個人型年金」という)について説明した。Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄①~③に入る語句または数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
「Aさんが個人型年金に加入した場合、拠出できる掛金の限度額は年額( ① )となります。掛金は全額所得控除の対象となり、運用益は課税されません。
個人型年金の老齢給付金は、60歳到達時点で通算加入者等期間が( ② )年以上ある場合、60歳から受け取ることができます。老齢給付金を年金で受け取った場合、給付金は雑所得(公的年金等控除の適用可)として課税の対象となります。
個人型年金の留意点として、加入者が運用リスクを負うことが挙げられます。また、( ③ )に対して、加入時に2,777円、掛金拠出時に収納1回当たり103円の手数料のほか、証券会社等の運営管理機関等が定める手数料を負担する必要があります」
個人型年金の老齢給付金は、60歳到達時点で通算加入者等期間が( ② )年以上ある場合、60歳から受け取ることができます。老齢給付金を年金で受け取った場合、給付金は雑所得(公的年金等控除の適用可)として課税の対象となります。
個人型年金の留意点として、加入者が運用リスクを負うことが挙げられます。また、( ③ )に対して、加入時に2,777円、掛金拠出時に収納1回当たり103円の手数料のほか、証券会社等の運営管理機関等が定める手数料を負担する必要があります」
1. | ① 24万円(月額20,000円) ②5 ③企業年金連合会 |
2. | ① 27万6,000円(月額23,000円) ②5 ③国民年金基金連合会 |
3. | ① 81万6,000円(月額68,000円) ②10 ③国民年金基金連合会 |
正解:3 (3点)
① | 国民年金の第1号被保険者が拠出することができる個人型確定拠出年金の掛金の上限は、年額816,000円です。 |
② | 個人型確定拠出年金の老齢給付金は、加入期間が10年以上あれば、60歳から受け取ることが可能です。 |
③ | 個人型確定拠出年金に加入すると、国民年金基金連合会に手数料を納めなくてはいけません。 |
【問4】~【問6】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
X社に勤務するAさん(61歳)は、専業主婦である妻Bさん(60歳)との2人暮らしである。Aさんは、62歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができることから、40年間勤務したX社を退職する予定である。
Aさんは、退職にあたり、現在加入している定期保険特約付終身保険を見直して、医療保障を充実させた保険に加入したいと考えている。また、公的医療保険制度(現在、Aさんは全国健康保険協会管掌健康保険に加入)についても理解しておきたいと思っている。
そこで、Aさんは、懇意にしているファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
X社に勤務するAさん(61歳)は、専業主婦である妻Bさん(60歳)との2人暮らしである。Aさんは、62歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができることから、40年間勤務したX社を退職する予定である。
Aさんは、退職にあたり、現在加入している定期保険特約付終身保険を見直して、医療保障を充実させた保険に加入したいと考えている。また、公的医療保険制度(現在、Aさんは全国健康保険協会管掌健康保険に加入)についても理解しておきたいと思っている。
そこで、Aさんは、懇意にしているファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
<Aさんが加入している生命保険に関する資料>
保険の種類:定期保険特約付終身保険(65歳払込満了)
月払保険料(集団扱い):19,240円
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
保険の種類:定期保険特約付終身保険(65歳払込満了)
月払保険料(集団扱い):19,240円
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問4】
はじめに、Mさんは、生命保険の見直しを検討する前に、現時点の必要保障額を試算することにした。下記の<算式>および<条件>に基づき、Aさんが現時点で死亡した場合の必要保障額は、次のうちどれか。なお、金額の前の「▲」は、マイナスであることを示している。
<算式>
必要保障額=遺族に必要な生活資金等の総額-遺族の収入見込金額
必要保障額=遺族に必要な生活資金等の総額-遺族の収入見込金額
<条件> | |
・ | 現在の毎月の日常生活費は30万円であり、Aさん死亡後の妻Bさんの生活費は、 現在の日常生活費の50%とする。 |
・ | 現時点の妻Bさんの平均余命は、29年とする。 |
・ | Aさんの死亡整理資金(葬儀費用等)は、200万円とする。 |
・ | 緊急予備資金は、300万円とする。 |
・ | 住宅ローン(団体信用生命保険加入)の残高は、500万円とする。 |
・ | 金融資産(預貯金等)の金額は、2,000万円とする。 |
・ | Aさん死亡後に妻Bさんが受け取る公的年金等の総額は、5,800万円とする。 |
・ | 現在加入している生命保険の死亡保険金額は考慮しなくてよい。 |
1. | ▲1,580万円 |
2. | ▲2,080万円 |
3. | ▲3,140万円 |
正解:2 (3点)
<必要な生活資金等の総額>
生活費:15万円/月×12月×29年=5,220万円
死亡整理金:200万円
緊急予備資金:300万円
住宅ローン:団信加入の為0円より、
計5,720万円です。
<遺族の収入見込金額>
金融資産:2,000万円
公的年金等:5,800万円より、
計7,800万円です。
よって、必要保障額=5,720万円-7,800万円=▲2,080万円となります。
【問5】
次に、Mさんは、健康保険の概要について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も適切なものはどれか。
1. | 「X社を退職すると、Aさんは健康保険の被保険者資格を失うことになりますが、原則として、資格喪失日から20日以内に任意継続被保険者の資格取得の申出をすることにより、65歳になるまでの間、引き続き健康保険に加入することができます」 |
2. | 「Aさんが病気などで医師の診察を受けた場合、外来・入院を問わず、医療費の一部負担金の割合は、原則3割となります。ただし、高額療養費制度により、一医療機関の窓口で支払う同一月内の一部負担金を、所得区分に応じた自己負担限度額までとすることができます」 |
3. | 「X社を退職し、Aさんが国民健康保険に加入した場合、高額療養費の支給はありません。退職後は、現在と同様の保険給付を受けることができる健康保険の任意継続被保険者になることをお勧めします」 |
正解:2 (3点)
1. | 任意継続被保険者となることができる期間は、最大で2年間です。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 国民健康保険にも高額療養費の制度はあります。 |
【問6】
最後に、Mさんは、生命保険の見直しについてアドバイスした。MさんのAさんに対するアドバイスとして、次のうち最も不適切なものはどれか。
1. | 「必要保障額の計算結果からすると、現時点において死亡保障は必要ありません。ただし、Aさんが要介護状態になった場合などには、預貯金等を大きく取り崩すことも想定されます。要介護状態等になった場合に介護一時金や介護年金が受け取れる生前給付タイプの保障を充実させることも検討事項の1つだと思います」 |
2. | 「保険会社各社は、入院給付金や手術給付金が定額で受け取れるタイプの医療保険や通院保障が手厚いものなど、最近の医療事情に合わせて、さまざまなタイプの医療保険を取り扱っています。保障内容や保障範囲をしっかりと確認したうえで、加入を検討されることをお勧めします」 |
3. | 「現在加入している生命保険を払済保険に変更した場合、変更時点の解約返戻金をもとに、終身保険に変更されます。死亡保険金額は減少しますが、現在付加されている入院特約は残り、月々の保険料負担は軽減されます」 |
正解:3 (4点)
1. | 適切な記述です。 |
2. | 適切な記述です。 |
3. | 払済保険にすると、特約は全て消滅します。 |
【問7】~【問9】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
Aさん(58歳)は、X株式会社(以下、「X社」という)の創業社長である。X社は、近年、売上金額・利益金額ともに増加傾向にあり、業況は順調に推移している。
X社では後継者である長男Bさん(27歳)が勤務しており、将来的には長男Bさんに事業を承継させる予定であるが、Aさんは、今後10年間は引き続き社長として、X社の経営に専念する予定である。
Aさんは、将来の事業承継を見据えて、生命保険についても十分な準備をしておきたいと考えている。そこで、Aさんは、生命保険会社の営業担当者であるファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
Aさん(58歳)は、X株式会社(以下、「X社」という)の創業社長である。X社は、近年、売上金額・利益金額ともに増加傾向にあり、業況は順調に推移している。
X社では後継者である長男Bさん(27歳)が勤務しており、将来的には長男Bさんに事業を承継させる予定であるが、Aさんは、今後10年間は引き続き社長として、X社の経営に専念する予定である。
Aさんは、将来の事業承継を見据えて、生命保険についても十分な準備をしておきたいと考えている。そこで、Aさんは、生命保険会社の営業担当者であるファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
<資料>X社が現在加入している生命保険の契約内容
保険の種類:無配当逓増定期保険(特約付加なし)
契約年月日:平成22年11月1日
契約者(=保険料負担者):X社
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:X社
保険期間・保険料払込期間:72歳満了
基本保険金額:1億円
逓増率変更年度:第9保険年度
年払保険料:700万円
現時点の解約返戻金額:4,600万円
※ | 保険料の払込みを中止し、払済終身保険に変更することができる。 |
※ | 解約返戻金額の80%の範囲内で、契約者貸付制度を利用することができる。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問7】
仮に、将来X社がAさんに役員退職金5,000万円を支給した場合、Aさんが受け取る役員退職金に係る退職所得の金額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、Aさんの役員在任期間(勤続年数)を30年とし、これ以外に退職手当等の収入はなく、障害者になったことが退職の直接の原因ではないものとする。
1. | 1,750万円 |
2. | 2,100万円 |
3. | 3,500万円 |
正解:1 (3点)
退職所得控除額=800万円×{70万円×(30-20)}=1,500万円です。
よって、退職所得=(5,000万円-1,500万円)×1/2=1,750万円です。
よって、退職所得=(5,000万円-1,500万円)×1/2=1,750万円です。
【問8】
Mさんは、<設例>の<資料>の逓増定期保険について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も不適切なものはどれか。
1. | 「現在加入している生命保険の解約返戻金は、逓増率変更年度経過後10年程度は増加しますので、Aさんが勇退を検討されている10年後の退職金準備として適しています。解約することなく、継続されることをお勧めします」 |
2. | 「現在加入している生命保険を払済終身保険に変更することもできます。Aさんが勇退する際に、契約者をAさん、死亡保険金受取人をAさんの相続人に名義変更することで、当該払済終身保険を役員退職金の一部として支給することができます」 |
3. | 「急な資金需要の発生により、X社が当該生命保険から契約者貸付制度を利用した場合、契約者貸付金の全額を借入金として負債に計上する必要があります」 |
正解:1 (4点)
1. | 逓増定期保険は、逓増率変更年度経過後は、解約返戻金が減少します。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。 |
【問9】
X社が現在加入している生命保険を現時点で解約した場合のX社の経理処理(仕訳)について、次のうち最も適切なものはどれか。なお、X社が解約時までに支払った保険料の総額は5,600万円である。
1. | |
2. | |
3. |
正解:1 (3点)
逓増定期保険は、基本的に払込保険料の2分の1を資産計上しますから、解約時の資産計上額(前払保険料)は、700万円×8×1/2=2,800万円であり、解約時にはこれを取り崩しますから、仕訳の貸方(右)に持ってきます。
解約返戻金を受け取ると、現金・預金という資産が4,600万円増えますから、仕訳の借方(左)に持ってきます。
そして、両者の差額1,800万円を雑収入として処理します。
解約返戻金を受け取ると、現金・預金という資産が4,600万円増えますから、仕訳の借方(左)に持ってきます。
そして、両者の差額1,800万円を雑収入として処理します。
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