FP2級学科解説-2024年5月・問31~40
【問31】
所得税の基本的な仕組みに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 所得税では、納税者本人が所得の金額とこれに対応する税額を計算し、申告・納付する申告納税方式が採用されている。 |
2. | 所得税では、課税対象となる所得を10種類に区分し、それぞれの所得の種類ごとに定められた計算方法により所得の金額を計算する。 |
3. | 所得税において、居住者は、国内で生じた所得についてのみ所得税の納税義務が生じ、国外で生じた所得について所得税の納税義務が生じることはない。 |
4. | 所得税額の計算において課税総所得金額に乗じる税率には、課税総所得金額が大きくなるにつれて段階的に税率が高くなる超過累進税率が採用されており、その最高税率は45%である。 |
正解:3 | |
1. | 正しい記述です。所得税は、国税、申告納税方式、直接税に区分されます。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 所得税において、居住者は、国外源泉所得も課税されます。具体的には、非永住者以外の居住者は、国内および国外において生じたすべての所得に対して、非永住者である居住者は、国外源泉所得以外の所得および国外源泉所得で日本国内において支払われ、または国外から送金されたものに対して課税されます。 なお、非居住者は、国内源泉所得に対してのみ課税されます。 |
4. | 正しい記述です。所得税の超過累進税率は、5%~45%までの7段階です。 |
【問32】
所得税における各種所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 賃貸している土地を売却したことによる所得は、譲渡所得に該当する。 |
2. | 不動産の貸付けを事業的規模で行ったことにより生じた賃料収入に係る所得は、不動産所得に該当する。 |
3. | 借家人が賃貸借の目的とされている居宅の立退きに際して受け取る立退き料(借家権の消滅の対価の額に相当する部分の金額を除く)は、原則として一時所得に該当する。 |
4. | 個人事業主が事業資金で購入した株式について配当金を受け取ったことによる所得は、一時所得に該当する。 |
正解:4 | |
1. | 正しい記述です。資産の譲渡による所得は、原則として、譲渡所得に該当します。 |
2. | 正しい記述です。不動産の貸付けに係る所得は、その規模に関わらず、不動産所得に該当に該当します。 |
3. | 正しい記述です。個人が受け取った立退き料(借家権の消滅の対価の額に相当する部分の金額を除く)は、原則として一時所得に該当します。 |
4. | 個人が受け取った株式の配当に係る所得は、事業用の資金で購入した株式に係るものであれ、プライベートの資金で購入した株式に係るものであれ、配当所得となります。 |
【問33】
所得税における各種所得の金額の計算上生じた次の損失の金額のうち、給与所得の金額と損益通算することができるものはどれか。
1. | 物品販売業による事業所得の金額の計算上生じた損失の金額 |
2. | 上場株式等に係る譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額 |
3. | 不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、不動産所得を生ずべき業務の用に供する土地の取得に要した負債の利子の額に相当する部分の金額 |
4. | 公的年金等以外の雑所得の金額の計算上生じた損失の金額 |
正解:1 | |
1. | 事業所得の金額の計算上生じた損失の金額は、損益通算の対象となります。 |
2. | 上場株式等に係る譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、損益通算の対象外です。 |
3. | 不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、土地取得のための借入金の利子の額に相当する部分の金額は、損益通算の対象外です。 |
4. | 不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得以外の所得の金額の計算上生じた損失の金額は、損益通算の対象外です。 |
【問34】
所得税における各種所得控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
1. | 納税者の合計所得金額が2,500万円を超える場合、基礎控除の適用を受けることはできない。 |
2. | 納税者の合計所得金額が1,000万円を超える場合、配偶者控除の適用を受けることはできない。 |
3. | 納税者の合計所得金額が1,000万円を超える場合、医療費控除の適用を受けることはできない。 |
4. | 納税者の合計所得金額が500万円を超える場合、寡婦控除の適用を受けることはできない。 |
正解:3 | |
1. | 正しい記述です。基礎控除の額は合計所得金額によって変わり、納税者の合計所得金額が2,500万円を超えると0円になります。 |
2. | 正しい記述です。配偶者控除や配偶者特別控除の適用を受けるための納税者の合計所得金額の要件は、1,000万円以下であることとされています。 |
3. | 医療費控除の適用を受けるための合計所得金額の要件はありません。 |
4. | 正しい記述です。寡婦控除やひとり親控除の適用を受けるための納税者の合計所得金額の要件は、500万円以下であることとされています。 |
【問35】
所得税における住宅借入金等特別控除(以下「住宅ローン控除」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、2023年10月に住宅ローンを利用して住宅を取得したものとする。
1. | 住宅ローン控除の適用を受けるためには、原則として、その対象となる家屋を取得等した日から6ヵ月以内に自己の居住の用に供さなければならない。 |
2. | 住宅ローン控除の対象となる家屋は、床面積の2分の1以上に相当する部分がもっぱら自己の居住の用に供されるものに限られる。 |
3. | 住宅ローン控除の対象となる借入金は、契約による償還期間が10年以上のものに限られる。 |
4. | 住宅ローン控除は、納税者が給与所得者である場合、住宅を取得して居住の用に供した年分から年末調整により適用を受けることができる。 |
正解:4 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 給与所得者が住宅ローン控除の適用を受けようとする場合、1年目は必ず確定申告をしなくてはなりません。 |
【問36】
法人税の仕組みに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 法人を設立した場合、設立の日以後1ヵ月以内に、一定の書類を添付した法人設立届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 |
2. | 法人は、法人税の納税地に異動があった場合、原則として、異動届出書を異動前の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 |
3. | 法人税の確定申告書は、原則として、各事業年度終了の日の翌日から1ヵ月以内に、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 |
4. | 期末資本金の額等が1億円以下の一定の中小法人に対する法人税の税率は、所得金額のうち年1,000万円以下の部分について軽減税率が適用される。 |
正解:2 | |
1. | 法人設立届出書の提出期限は、法人の設立の日以後2ヵ月以内です。なお、提出先は、納税地の所轄税務署長です。 |
2. | 正しい記述です。法人税の納税地に異動があった場合、原則として、現在お世話になっている税務署(異動前の納税地の所轄税務署長)に届出を行います。 |
3. | 法人の確定申告の期限は、原則として、各事業年度終了の日の翌日から2ヵ月以内です。 |
4. | 期末資本金の額等が1億円以下の一定の中小法人に対する法人税の税率は、所得金額のうち年800万円以下の部分について軽減税率が適用されます。 |
【問37】
法人税の損金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 法人が役員に支給する定期同額給与の額を損金の額に算入するためには、所定の時期に確定額を支給する旨の定めの内容に関する届出書を、あらかじめ納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 |
2. | 法人が納付した法人税の本税および法人住民税の本税の額は、損金の額に算入することができない。 |
3. | 法人が納付した法人事業税の本税の額は、原則として、その法人事業税に係る納税申告書を提出した日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。 |
4. | 法人が国または地方公共団体に対して支払った寄附金は、原則として、その全額を損金の額に算入することができる。 |
正解:1 | |
1. | 定期同額給与の額を損金の額に算入するためには、特に手続きを行う必要はありません。 なお、問題文は事前確定届出給与の説明です。 |
2. | 正しい記述です。法人税や法人住民税は、収益(益金)を得るためのものではない(利益を処分する性質のものである)ため、その額を損金の額に算入することはできません。 |
3. | 正しい記述です。法人事業税は、法人がその事業活動を行うに当たって地方団体の各種の行政サービスの提供を受けることから、これに必要な経費を分担すべきであるという考え方に基づき課税されるものなので、その額を損金の額に算入することができます。 |
4. | 正しい記述です。法人が国または地方公共団体に対して支払った寄附金と指定寄付金(公益法人等に対する寄附金で、一定の要件を備えるものとして財務大臣が指定したもの)は、原則として、その全額を損金の額に算入することができます。 なお、特定公益増進法人等に対する寄附金やこれら以外の寄附金(一般の寄附金)には、一定の損金算入限度額があります。 |
【問38】
消費税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 消費税の課税事業者が行う土地の譲渡は、消費税の非課税取引に該当する。 |
2. | 個人事業者における特定期間とは、その年の前年7月1日から12月31日までの期間をいう。 |
3. | 特定期間における給与等支払額の合計額および課税売上高がいずれも1,000万円を超える法人は、消費税の免税事業者となることができない。 |
4. | 消費税の課税事業者である個人事業者は、原則として、消費税の確定申告書をその年の翌年3月31日までに納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 |
正解:2 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 消費税における特定期間とは、前年の前半6ヵ月をいいます。つまり、>個人事業者における特定期間は、前年の1月1日から6月30日までをいいます。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 正しい記述です。個人事業者の消費税の申告期限は、原則として、翌年の3月31日です。 |
【問39】
会社と役員間の取引に係る所得税・法人税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 役員が会社の所有する社宅に無償で居住している場合、原則として、通常の賃貸料相当額が、その役員の雑所得の収入金額に算入される。 |
2. | 会社が役員からの借入金について債務免除を受けた場合、その債務免除を受けた金額が、その会社の所得金額の計算上、益金の額に算入される。 |
3. | 会社が役員に対して無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、その会社の所得金額の計算上、益金の額に算入される。 |
4. | 会社が株主総会の決議を経て役員に対して退職金を支給した場合、その退職金の額は、不相当に高額な部分の金額など一定のものを除き、その会社の所得金額の計算上、損金の額に算入することができる。 |
正解:1 | |
1. | 役員が会社の所有する社宅に無償で居住している場合、原則として、通常の賃貸料相当額が、給与所得の収入金額に算入されます。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。法人が無償で役務の提供をした場合は、益金を計上する必要があります。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問40】
消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者は、適格請求書発行事業者の登録申請書を、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 |
2. | 適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者は、簡易課税制度の適用を受けることができない。 |
3. | 適格請求書発行事業者の登録番号は、適格請求書に必要とされる記載事項の一つである。 |
4. | 適格請求書として必要とされる事項が記載された書類は、納品書や領収書等の名称で発行されたものであっても適格請求書に該当する。 |
正解:2 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 適格請求書発行事業者も簡易課税を選択することができます。 |
3. | 正しい記述です。適格請求書に必要とされる記載事項とは、①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号、②課税資産の譲渡等を行った年月日、③課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容、④課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率、⑤税率ごとに区分した消費税額等、⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称の6つです。 |
4. | 正しい記述です。 |
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