FP2級実技(FP協会)解説-2022年9月・問35~40
【問35】~【問40】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
物品販売業(松尾商店)を営む自営業者(青色申告者)の松尾孝一さんは、今後の生活や事業などに関して、FPで税理士でもある沼田さんに相談をした。なお、下記のデータは2022年9月1日現在のものである。
物品販売業(松尾商店)を営む自営業者(青色申告者)の松尾孝一さんは、今後の生活や事業などに関して、FPで税理士でもある沼田さんに相談をした。なお、下記のデータは2022年9月1日現在のものである。
【問35】
FPの沼田さんは、まず現時点(2022年9月1日時点)における松尾家(孝一さんと祥子さん)のバランスシート分析を行うこととした。下表の空欄(ア)に入る数値を計算しなさい。
正解:6,660万円
<資産>
預貯金等:2,850万円+360万円
投資信託:220万円
生命保険:120万円+280万円+180万円+150万円
商品・備品等:420万円
土地:2,300万円
建物:3,680万円
その他:200万円+100万円
より、計10,860万円です。
<負債>
住宅ローン:380万円
事業用借入:3,820万円
より、計4,200万円です。
したがって、純資産=10,860万円-4,200万円=6,660万円となります。
【問36】
孝一さんは、現在加入している生命保険で十分な保障を得られているか不安を持っている。そこで、自分が交通事故等の不慮の事故で死亡したときに支払われる死亡保険金で負債を全額返済した場合、現金および預貯金がいくら残るのかについて、FPの沼田さんに試算してもらうことにした。この試算に関する沼田さんの次の説明の空欄(ア)に入る金額として、正しいものはどれか。なお、保有している投資信託は含めずに計算すること。
「現時点(2022年9月1日時点)で孝一さんが交通事故等の不慮の事故で死亡した場合、孝一さんの死亡により支払われる死亡保険金と松尾家(孝一さんと祥子さん)が保有する現金および預貯金の合計額から、返済すべき負債の全額を差し引いた金額は( ア )になります。」
1. | 3,290万円 |
2. | 3,310万円 |
3. | 3,690万円 |
4. | 3,890万円 |
正解:3
<死亡保険金>
死亡保険金の額=定期保険A1,000万円+定期保険特約付終身保険B200万円+2,000万円+終身保険C400万円+(災害割増特約)400万円+終身保険E300万円=4,300万円です。
<預貯金および預貯金>
2,850万円+360万円=3,210万円です。
<返済すべき負債>
住宅ローンには団体信用生命保険が付いているため、事業用借入の3,820万円のみです。
したがって、純資産=4,300万円+3,210万円-3,820万円=3,690万円となります。
【問37】
孝一さんの父である太郎さんが保有する土地Aおよび土地Bの明細は、下記<資料>のとおりである。仮に孝一さんが土地Aおよび土地Bを相続により取得した場合、小規模宅地等に係る相続税の課税価格の計算の特例(小規模宅地等の特例)の適用対象となる面積の上限として、最も適切なものはどれか。なお、太郎さんは、土地Aおよび土地B以外に土地(借地権等を含む)は保有していない。
<資料>
[土地A]
面積:220㎡
用途:太郎さんの自宅の敷地(自宅家屋も太郎さんが所有)。なお、同居者はいない。
取得後の予定:相続税の申告後に売却する予定。
[土地A]
面積:220㎡
用途:太郎さんの自宅の敷地(自宅家屋も太郎さんが所有)。なお、同居者はいない。
取得後の予定:相続税の申告後に売却する予定。
[土地B]
面積:300㎡
用途:賃貸アパートの敷地(アパート(建物)も太郎さんが所有)
取得後の予定:賃貸アパート経営を継続する予定
1. | ゼロ(適用なし) |
2. | 200㎡ |
3. | 300㎡ |
4. | 420㎡ |
正解:2
土地A(太郎さんの自宅の敷地)は、取得者(孝一)さんは、自己が所有する家屋を持っているため、特定居住用宅地等の適用要件を満たしません。
土地B(賃貸アパートの敷地)は、事業承継要件(その宅地等に係る被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその貸付事業を行っていること)と保有継続要件(その宅地等を相続税の申告期限まで有していること)を満たすことが読み取れますから、貸付事業用宅地等として、200㎡まで課税価格を引き下げることができます。
土地B(賃貸アパートの敷地)は、事業承継要件(その宅地等に係る被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその貸付事業を行っていること)と保有継続要件(その宅地等を相続税の申告期限まで有していること)を満たすことが読み取れますから、貸付事業用宅地等として、200㎡まで課税価格を引き下げることができます。
【問38】
孝一さんの弟である裕二さん(53歳)は、父の太郎さん(85歳)と叔母の恵子さん(78歳)から下記<資料>の贈与を受けた。裕二さんの2022年分の贈与税額を計算しなさい。なお、太郎さんからの贈与については、2021年から相続時精算課税制度の適用を受けている。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。
<資料> | |
[2021年中の贈与] | |
・ | 太郎さんから贈与を受けた金銭の額:1,800万円 |
[2022年中の贈与] | |
・ | 太郎さんから贈与を受けた金銭の額:1,500万円 |
・ | 恵子さんから贈与を受けた金銭の額:500万円 |
※ | 2021年中および2022年中に上記以外の贈与はないものとする。 |
※ | 上記の贈与は、住宅取得等資金の贈与ではない。 |
<贈与税の速算表> | ||
[18歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産の場合] | ||
基礎控除後の 課税価格 |
税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
200万円超 400万円以下 |
15% | 10万円 |
400万円超 600万円以下 |
20% | 30万円 |
600万円超 1,000万円以下 |
30% | 90万円 |
1,000万円超 1,500万円以下 |
40% | 190万円 |
1,500万円超 3,000万円以下 |
45% | 265万円 |
3,000万円超 4,500万円以下 |
50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
[上記以外の場合] | ||
基礎控除後の 課税価格 |
税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
200万円超 300万円以下 |
15% | 10万円 |
300万円超 400万円以下 |
20% | 25万円 |
400万円超 600万円以下 |
30% | 65万円 |
600万円超 1,000万円以下 |
40% | 125万円 |
1,000万円超 1,500万円以下 |
45% | 175万円 |
1,500万円超 3,000万円以下 |
50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
正解:2,130,000円
2022年に使える相続時精算課税制度の特別控除額は、2,500万円-1,80万円=700万円です。
よって、父からの贈与に係る贈与税額は、(1,500万円-700万円)×20%=160万円です。
また、叔母からの贈与に係る贈与税額は、(500万円-110万円)×20%-25万円=53万円です。
よって、2021年分の贈与税額は、16万円+53円=213万円となります。
よって、父からの贈与に係る贈与税額は、(1,500万円-700万円)×20%=160万円です。
また、叔母からの贈与に係る贈与税額は、(500万円-110万円)×20%-25万円=53万円です。
よって、2021年分の贈与税額は、16万円+53円=213万円となります。
【問39】
孝一さんは国民年金の第1号被保険者であり、20歳から6年間、国民年金保険料の未納期間がある。このため、今後60歳になるまで国民年金保険料を納付し続けても老齢基礎年金は満額に達しないので、FPの沼田さんに年金額を増やす方法について相談をした。孝一さんの老齢年金に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
<沼田さんの説明>
「孝一さんが老齢年金の額を増やすには、まず60歳から( ア )歳になるまでの間、国民年金に任意加入し、保険料を納付する方法が考えられます。
また、国民年金保険料に加えて付加保険料を納付すると、付加年金を受給することができます。付加年金の受給額は、( イ )円に付加保険料を納付した月数を乗じた額となります。
さらに孝一さんが66歳に達した日以降、老齢年金の支給繰下げの申し出をすると、年金額を増やして受給することができます。支給繰下げを申し出た場合の年金額の増額率は、( ウ )%に繰り下げた月数を乗じた率となります。」
「孝一さんが老齢年金の額を増やすには、まず60歳から( ア )歳になるまでの間、国民年金に任意加入し、保険料を納付する方法が考えられます。
また、国民年金保険料に加えて付加保険料を納付すると、付加年金を受給することができます。付加年金の受給額は、( イ )円に付加保険料を納付した月数を乗じた額となります。
さらに孝一さんが66歳に達した日以降、老齢年金の支給繰下げの申し出をすると、年金額を増やして受給することができます。支給繰下げを申し出た場合の年金額の増額率は、( ウ )%に繰り下げた月数を乗じた率となります。」
1. | (ア)65 (イ)200 (ウ)0.7 |
2. | (ア)65 (イ)400 (ウ)0.5 |
3. | (ア)66 (イ)200 (ウ)0.5 |
4. | (ア)66 (イ)400 (ウ)0.7 |
正解:1
(ア) | 国民年金の任意加入被保険者になることができるのは、年金額を増やす目的である場合、60歳から65歳までです。 |
(イ) | 付加年金の額=200円×付加保険料納付月数です。 |
(ウ) | 公的年金を繰り下げると、1ヵ月当たり、年金額が0.7%増額されます。 |
【問40】
祥子さんは今の職場で長く働き続けたいと考えており、雇用保険制度について、FPの沼田さんに質問をした。沼田さんの次の説明について、空欄(ア)~(ウ)に入る適切な語句を語群から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。
「パートタイマーとして働いている人も、1週間の所定労働時間が( ア )以上で、継続して31日以上雇用される見込みがある人は、雇用保険に加入しなければなりません。
雇用保険の加入年齢に上限はなく、( イ )未満の人は一般被保険者とされ、( イ )以上の人は高年齢被保険者とされます。
被保険者が失業した場合に支給される求職者給付も、離職したときの年齢により内容が異なります。( イ )に達する前に離職した一般被保険者には、離職理由や雇用保険の加入期間により原則として90日~330日にわたる基本手当が支給され、( イ )以後に離職した高年齢被保険者には基本手当の30日分または50日分の( ウ )が一時金で支給されます。」
雇用保険の加入年齢に上限はなく、( イ )未満の人は一般被保険者とされ、( イ )以上の人は高年齢被保険者とされます。
被保険者が失業した場合に支給される求職者給付も、離職したときの年齢により内容が異なります。( イ )に達する前に離職した一般被保険者には、離職理由や雇用保険の加入期間により原則として90日~330日にわたる基本手当が支給され、( イ )以後に離職した高年齢被保険者には基本手当の30日分または50日分の( ウ )が一時金で支給されます。」
<語群>
1.8時間 2.20時間 3.30時間
4.60歳 5.65歳 6.70歳
7.高年齢求職者給付金
8.高年齢雇用継続基本給付金
9.高年齢再就職給付金
1.8時間 2.20時間 3.30時間
4.60歳 5.65歳 6.70歳
7.高年齢求職者給付金
8.高年齢雇用継続基本給付金
9.高年齢再就職給付金
正解:2、5、7
(ア) | 1週間の所定労働時間が20時間以上で、継続して31日以上雇用される見込みがある人は、雇用保険に加入しなければなりません。 |
(イ) | 雇用保険の被保険者は、65歳未満の一般被保険者と、65歳以上の高年齢被保険者に分かれています。 |
(ウ) | 高年齢被保険者が失業した場合、基本手当が支払われない代わりに、基本手当の30日分または50日分の高年齢求職者給付金が一時金で支給されます。 |
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